イエスタデイ

さっきからずっと 昨日のラインのやりとりばっかり 繰り返し見ている 同じように見返していないかな 映画とか小説みたいに あの人のこと覗けたらいいのに 昨日は本当に一生で一度みたいな出会いだった 私の方が好きになったからラインは私で終わっているのか…

東京

高田馬場駅で地下鉄から西武線に乗り換えるため階段を上る。 いつもより人が多くて、なかなか地上に辿り着かない。 やっと上り終えたところで長蛇の列。人身事故の影響でダイヤが乱れているといった内容のアナウンスが耳に入ってくる。 「ハァー、仕事が早く…

令和と男と女

とにかく好きな格好をしたい。 田中美保ちゃんみたいなボブスタイルで、いい匂いがするツヤツヤの髪。 白くてプルプルとした触れたくなるような肌。 マーガレットハウエルの服。 カンペールの靴。 イルビゾンテの鞄。 男の僕がやったら女装かしら。 でも女の…

今夜このまま

二次会は公園。 さきほどから大きな身振り手振りでくだらないことばかり話しているこいつが今夜の私の相手になるのかしら。 空の闇は十分に濃いのに、近くの電灯が私たちを煌々と照らしているから、男の口から飛び出す唾がいちいち光る。 一次会の居酒屋で飲…

今夜でおしまい

好きに呼ばれて この街に来たけど 肌がこわいって叫んだ どうした まだやれるぞって 振り向いても 言ってくれる人はいなかった なりたい あいつ たいせつな あいつ 全部捨てたら何が残る って全部捨てる勇気なんてない 電車の窓 自分の顔 超ブス どんどんブ…

XXは女、XYは男、XYZは……。

XXは女で、XYが男。 たったそれだけの違い。 なんだかXXの方が男っぽい気がするけど、XXは女。 XYZはシティーハンター。蛇足。 日本ではダメだけど、海外では遺伝子操作で男女の産み分けをやっている国もあるらしい。 春みたいな青空の公園で子どもと本気で…

『素顔の岡村隆史』本多正識

僕は岡村さんに憧れてお笑い芸人を目指していた時期がある。 お笑いの文化なんてこれっぽっちもない田舎の都道府県から、高校卒業後、ひとり大阪に出てNSCに入学した。ダウンタウンさんが1期生、ナインティナインさんが9期生、僕は今人気の和牛やかまいたち…

今年のホーフー

さてさて2019年。 みなさまいかがお過ごしでしょうか? 数日前のこと。朝起きると激しい頭痛が。いつもの二日酔いによるものだと判断し、普段通り10キロのランニングを行う。その後ぽわぽわしてきて、どうれ検温してみるや39度越え、天城越え。すぐさま病…

『Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018』宇多田ヒカル

宇多田ヒカルさん、以下はヒカルちゃんと呼ばせていただくが、 彼女は現代で日本国民にもっともその歌を聴かれた女性アーティストである。 あなたにとっても、クリーニング屋のおばちゃんにとっても、いい波のってる女子高校生たちにとっても、それぞれのヒ…

『ボヘミアンラプソディ』

話題の『ボヘミアンラプソディ』を観てきました。 吉祥寺の映画館で鑑賞しましたが、ファーストデイだったこともあり、会場は満席。 応援上映の回でもないのに、映画が終わると会場から自然と拍手が起こりました。 これは初めての経験で、ぐっときました。 …

『おっさんずラブ』を真剣に考える

やっと話題の『おっさんずラブ』を観ました。 とっても面白かったんですが、この作品が何故こんなにも話題になったのか、 性別は男性、性自認は女性、恋愛対象は女性(いまのところ)、既婚者(子どもなし)の私が真剣にこの作品について考えてみたいと思い…

本音

宇多田ヒカル様のライブの日まで とにかくクソみたいな一日を繰り返す その一日が惜しい奴と チラシみたいに一日を捨てる奴 どっちが贅沢で幸せか 担任だった物理の教師の話を思い出す 朝起きて学校に行くとか会社に行くとか それこそが物理だって 何で自分…

女になりたい

男はみんな女になりたいの。 いや、ちょっと違うか。 男だって子どもを産みたいの。 でもこればっかりは、東大卒でも、年収1000万以上でも、全国大会出場できるくらいの身体能力があっても、はるな愛さんみたいな突き抜けたトランスジェンダーでも、子どもを…

言葉に逃げよる

夜にも 眠れない夜があったり 飲み過ぎてふらっふらな夜があったり 星が美しい夜があったりするように 障害者にも 瞳しか動かせない障害者も 車椅子でパチンコばっかり行ってる障害者も 全盲でスケベな障害者もいる そんなふうにオカマにも オカンの鏡で化粧…

横浜たそがれ

久しぶりに横浜に行った。 渋谷から東横線に乗ってみなとみらい駅に着いたのは16時30分くらいで、 長い長いエスカレーターに乗って地上に出るとそれはそれは空が広かった。 心地良い潮風を受けながら港町を歩くカップルや公園で遊ぶファミリー、 みんなの顔…

正社員からアルバイトに昇格しました

成功することや夢をかなえることが、人類共通のいきがいではないということをちゃんと知ったのはここ5年ほどのことです。 僕は昔から「海賊王に俺はなる」みたいなことが最強の美徳だと思っていて、夢や好奇心がない人にはあまり興味がありませんでした。 高…

『たたみかた第2号』アタシ社

『たたみかた』は神奈川県の夫婦出版社「アタシ社」さんが出版している文芸誌で、「30代のための新しい社会文芸誌」というサブタイトルが付いています。 創刊号の「福島特集」はそりゃもう素晴らしかったんですが、待ちに待った第2号は「男らしさ女らしさ特…

『ファッションポジウム』

6月3日に東大安田講堂で開催された『ファションポジウム』というイベントに参加してきました。 「男女の垣根を越えたファッションの未来を考える」がコンセプトで、三度の飯より男女のその先のことを日々考えている私にとって、胸から乳房が出るほど興味津々…

5月のあたし

この春から妻が念願のファッション業界に勤め出すやいなや、帰りがえらく遅くなったので、平日は僕が家事を担当しているのだけれども、早起きしてピンクの可愛いエプロンを身につけ、おにぎりを握ったり、お弁当箱に卵焼きを詰めたり、会社のお昼休みには夕…

『伴走者 夏・マラソン編』 浅生鴨

いつだって障害×エンタメは放っておけません。 エンタメとは、つまるところ他人の世界を疑似体験することにお金を払うことですが、 アイドルや勇者や犯罪者の世界にはまっさらな気持ちで飛び込めるのに、 障害者の世界となると、僕はいろいろ余分なものを抱…

From me to you

おそらく今夜も仕事から帰ってきて 太ることを気にして控えめにご飯を食べて 少しテレビを観て、その後たくさんスマホをいじって ちょっとだけならいいかもってポテチを3分の1袋くらい食べて 風呂に入って、おざなりにストレッチして、またスマホいじって 明…

ジタバタ

先日妻さんに、結婚して4年半が経ちましたが、あなたはどこで暮らしてもお友達ができるし、お気に入りの場所を見つけるし、四季を楽しむし、朝はなかなか起きれないけど行ったらちゃんといい仕事したっていう顔して帰ってくるし、今だって、ここ東京で、ケン…

伝わる言葉

僕は病院で働いているので、今日と違う明日がいきなりやってきた人たちとよくお話をする。 なかでも脳の病気をした人たちは、言葉がうまく出せなくなっている人が多いから、そういう人たちとお話をすると、毎回泣きそうになる。 自分の思っていること、それ…

女装子歌劇団

新宿で女装子歌劇団の舞台を観てきました。 年明け一発目のブログで女装子歌劇団のことを書けるなんて今年はいい年になりそうです。 女装子歌劇団は『女の子クラブ』を運営する、くりこさんが立ち上げた30名の女装子からなるミュージカル劇団です。 歌劇団と…

『魔法にかけられて』

先日池袋の乙女ロードにある『魔法にかけられて』というお店に潜入してきました。 そもそも乙女ロードとは何ぞや。 乙女ロードは、女性向けのコミックスや関連商品を集めたお店、秋葉原でいうところのメイド喫茶の女子版「執事喫茶」等が軒を連ねる、まさに…

ハッピーバースデイ マイセルフ

実は今日が33歳の誕生日で、ゾロ目だからなんだか良いことが起こりそうな年だから、抱負みたいなことを書き残してみる。 33歳こそは自分の言葉を見つけたい。 これまでは自分だけの伝えたいことを無理矢理探して掘り下げて、それを他人の言葉で伝えていたよ…

スキじゃない

あなたにちゃんとスキって言えなかったのは それこそが僕のいいところで あとはぜんぶ悪いところで SNSを見るぶんには今のあなたはたぶん幸せだろうから あなたがまちがいなく読まないこのブログで その安心感から あなたへの気持ちをいまさら書くのです あ…

『女になる』 田中幸夫

本気の映画でした。 この映画のレビューは、中途半端な気持ちじゃ書けませんね。 がっかりさせない期待に応えて素敵に楽しいいつも俺らを捨てます。 ネタバレあり。 まずはあらすじ。 主人公の中川未悠さんは物心がついた頃から、自分にちんちんがついている…

A half year has passed in Tokyo

30過ぎてから東京で暮らし始めてもうすぐ半年です。 いちばん何が変わったかと言うと、車を乗らなくなったので、いつでもどこでも酒ばっかり飲むようになりました。 あとは街でも仕事でも若い人をよく見かけるので、30過ぎたらオッサンなんだなって余計に身…

『乳と卵』 川上未映子

川上未映子、恐ろしい女である。 セカイとワタシの違和感を、自分だけの言葉で、カタチにした文句のつけようがない傑作である。 ネタバレあり。 この小説は、女が書いた女の小説である。 男である僕は、巻子とわたしの銭湯のシーンとか、わたしの生理の描写…