人生30過ぎてからでしょう。

好きな本、映画、日々考えていること、気の向くままに書きます。

『紙をつなげ!彼らが本の紙を造っている』 佐々涼子

久しぶりに小説じゃない本を読みました。

この本はたぶん新聞の書評欄で見つけました。

 

ちなみに僕は毎朝30分くらいかけて地方紙を読みます。

大人になったら新聞を取る。小さい頃からの夢でした。

夢を叶えて気が付いたことは、大人になっても新聞は大きいということでした。

なんであんなに大きいんだろう。とかく読みづらい。

一通りいろんな格好で読んでみましたが、

結局地面に直接びゃっと開いて井戸の中を覗き込むような格好で毎朝読んでます。

 

『紙をつなげ!彼らが本の紙を造っている』は東日本大震災で壊滅的なダメージを受けた日本製紙石巻工場が、奇跡の復興を果たすまでを描いたノンフィクション作品です。

村上春樹さんの小説も、ワンピースも、コロコロコミックもこの工場の紙から出来ているそうです。まさに出版業界の心臓。本好きにとっては足を向けて寝れない大切な存在なのです。

そんな工場が津波に飲み込まれ、瓦礫まみれの状態からどのようにして再生したのか?

読み進めていくと震災当時の石巻の様子が頭の中でどんどん形になっていきます。それを可能にしている活字の波が印刷されている、手元の紙、それこそが舞台の石巻で造られている紙なわけで。なんとも不思議な読書体験でした。

 

読了後、否応なく己の震災へのリアクションを思い返すことになりました。

あれから4年。

僕は当時京都に住んでいて、揺れた時は会社のトイレにいました。

その後、会社の同僚とテレビに映る津波の映像を只々茫然と見ているだけでした。

まさに映画とかドラマとかフィクションを見ているようでした。

 

東日本大震災がフィクションではなく現実であることは、現地に行かないと絶対に理解できません。

京都にいてテレビを見ているだけでは、奇跡の救出劇とか、芸能人の支援活動とか、編集の入ったハイライトシーンしか見ることができません。

現地に行かなかった僕にとって震災は4年経ってもフィクションなのです。

当然ですが被災地には、震災後も同じように24時間の一日がきて、それには朝も昼も夜もあって、みんなお腹も空くし、排せつもするし…。でも明らかに震災前とは状況が全く違うわけです。家がない。仕事がない。大切な人がいない。どうやって生きていけばいいのか。詰まる所、無情にも積み重ねられていく24時間をどうやってやり過ごせばいいのか。

アイツは亡くなって、オレは生き残った。どうして?

本では、葛藤しながらも徹夜で復旧作業をする人の姿も、そしてそんな中で略奪行為をする人の姿も描かれています。まさに想像を超えた現実の世界です。

 

僕の会社の同僚の中には、仕事を休んですぐに被災地へボランティアに行った人間もいました。

僕は行けませんでした。というか行きませんでした。

僕は、僕の震災後の24時間の連なりをそれまでより少し真剣に生きることで、被災地から目をそらしていたような気がします。

しかし今回この本の紙に触れていると、

ほんの少しだけ被災地に自分が近づけたような気がするのでした。