30キロ走ると

実はマラソンが趣味なんです。はい。

隙あらば走りにいくので、洗濯物が増えて、嫁にメって言われてるんです。でもだいたいは僕が洗濯しているので、モって言い返してるんです。

年に4回くらいは大会に参加していて、今月末もフルマラソンに出るので、予行練習がてら先程30キロくらいさっくと走ってきたんです。嘘です。さくっとなんて嘘です。最近雪降ったりして全然練習できていなかったし、昨日はなんかよく分からない灯明まつりに、仕事終わりで嫁に連れて行かれて、「ヘイ!試飲どうだい?新酒だよ!」って言うすこぶる陽気なおじさんの声に導かれて、ペロってやっちまったら終いで、嫁が灯篭に気を取られている隙に、熱燗やらふぐひれ酒やらシコタマ呑んでしまって、案の定二日酔いなのに、明日は雨降るかもしらんから、長い距離練習できるのは今日しかないぞOLE!って歯を食いしばりながら走り出してはみたものの、15キロあたりから、胸気持ち悪いし、脚痛いし、って涙出てきて、でも一度やるって決めたことはやりきるのがOLE!って走り続けてたら雨が降ってきて、おかげで泣いてるのバレずに済むやんAME!ってな感じで走り切ったんです。

よく、「何で走るの?しんどいだけじゃん」って言われることがありますが、走るのが好きな人にはそれぞれ理由があって、僕の場合は、ちゃんとそこにゴールがあるからだと思います。

フルなら42キロとちょっと、ハーフなら21キロとちょっと。そこには必ずゴールがあって、どんなに遅くても、どんなにカッコ悪くても、あきらめなければそこに必ずゴールが待っているんです。当たり前のことだけど、これって今の社会では結構珍しいことなんじゃないでしょうか。やっと42キロ走って、ゴールテープを切った瞬間、しょうもない上司が出てきて、「ごめん!あと5キロくらいお願いできる?」って言われたりすることは、マラソンには絶対ないのです。

ってそんな話をしたかったんじゃなくて、今日、走りながらひらめいたことについて書きたかったんでした。しっかりしろOLE!

 

フルマラソンの経験がある人なら分かると思いますが、残り10キロくらいからは、ほんまにしんどくて、いけるんやったら全裸で走りたいくらい、身に着けているモノとか全てがウザく感じてきます。やのに始めはいろいろと不安やから、キャップ被って、サングラスして、アイポッド耳につけて、時計つけて、あめとか栄養剤とかウエストポーチに入れて、さらに心配性の人は、コースアウトして変な集落に迷い込んで、鬼のイケニエにするぞとか村長に言われるかもしらんから、千円くらい持っていこうかとか、とにかくやたら武装してみんなスタートラインに着くんです。

 

今日もウエストポーチにチュウチュウしちゃう栄養剤を入れて走り始めたんですが、コレがやたら重くて。残り10キロくらいでチュウチュウしようと思っていましたが、もう我慢できなくて、残り15キロくらいでチュウチュウしたら軽くなって、あー美味しかった、良かった良かったって思ったときに、ギャビーンって稲妻が落ちてきたかのようにあることに気が付きました。

いや、チュウチュウは僕の身体の外から中に移動しただけで全体の重さ変わってないやん!

それは消化したからでしょう!とかメガネをちょこっと上げながら言いたい人もいるかもしれませんが、消化ってなんじゃ!身体いったいどうなってんじゃ!

そんなん言うならサングラスもアイポッドも時計も全部消化できれば無敵やんけ。

はっ!むかーし世界史の教科書とか英単語帳とかを必死で暗記したのは、頭の外にあったそれらを頭の中に移動させる作業だったのか。

そうか!そうやってどんどん頭や身体に必要なものを消化させていけば、何も持たずに綿毛みたいにふわふわ生きていけるやん。

身体はただの乗り物とかいう奴おるけど、正味どんだけ身体に便利な機能をインストールしていくかの勝負やん。身体が一番大事やん。将来火葬だけは遠慮しとこう。うん。

あれ?でもゴール前はなんもいらん、身体すらいらんような感覚やった気もする。

いったいわしはどうしたらいいんじゃ?

 

と、ここまで考えたところで自宅に着いてしまい、シャワー浴びたら全部流れてどうでもよくなってしまいました。

みなさん、走ってるときってほんとうにヒマなんです。