ことばのおはなし
言葉が好きでたまりません。
僕から言わせれば人間は言葉でできています。
新しい人と出会うときは、いつもその人が話す言葉に注目します。
学があるかないかというより、言葉の組み合わせとかバランスとかそんなのが気になります。
コミュニケーションの9割は、その内容ではなく、その他の非言語的な部分であるとか言っちゃう人がいますけど、そんな人は言葉の本当の力を知らない人です。
僕なんかは、「お嬢さんをください」の日、パーマネントウエーブへアーかつタンクトップ姿で彼女の実家に伺いました。熱い夏の日でした。
それでも僕の言葉に彼女とお義母さんは涙を流し、お義父さんは握手を求めてきました。
大切なのはいつだって内容です。自分の想いをちゃんと自分の言葉で話す。それに尽きます。
人は見た目が9割とか言っちゃう人がいますけど、そんな人は言葉の本当の力を知らない人です。
僕は長い間、世界の人間の中でいちばん好きなのは、モデルの田中美保ちゃんでしたが、彼女がネットかラジオで喋っている姿を見たとき、落胆したことを覚えています(美保ちゃんごめんなさい。ただ稲本さんに嫉妬しているだけなのよ)
それ以来、僕の世界一はヒューグラント様でほぼ固まっています。
まぁ前置きはこのくらいにして、そんな言葉バカの僕がおったまげた表現を紹介します。
まずはCHAGE&ASKAさんの『SAY YES』に出てくるこの部分です。
このままふたりで夢をそろえて
何げなく暮らさないか
「夢をそろえて」ですよ。箸とか靴ならそろえたことありますけど、夢をそろえるなんて。
もう広辞苑の『結婚』の意味を『ふたりが夢をそろえること』にすればいいんですよ。
これは夢をひとつにでも、夢をかさねてでもダメなんです。
夢をそろえる……、なんて丁寧で優しくて温かい表現なんでしょうか。
この2行だけで、ふたりのこれまでとこれからがあふれてきますね。
お次は、スポーツブランド、ナイキの有名なキャッチコピー『JUST DO IT』を村上春樹さんが翻訳したらこうなりました。
JUST DO IT
黙ってやれ
こういう訳はただ英語の文字を見て考えているだけじゃ浮かんできません。春樹さんは自らもマラソンをやっているし、何かのエッセイの中で、アメリカのナイキ本社の施設内にあるランニングコースを走ったことがあると書いていましたが、そういった経験がこんな力のある訳を生むんです。たぶん。
最後は番外編。僕は仕事柄障害を持った人たちと関わることが多いんですが、彼らの中には言葉を持たない人たちもいます。冒頭に人間は言葉でできているとか言っちゃいましたが、そんな彼らを身近に感じているからこそ、そう言えるというか、じゃあ彼らは人間じゃないのかとか、そこらへんは最近書いた小説で描きましたのでもし出版されたら読んでください笑
この間障害を持つみんなと紙粘土でいろいろ作って遊んでいたら一人の男性が得体の知れない形のものを作っていたので「何つくってるの?」って聞いたら、「海つくってる」って言われました。たいへんびっくりしました。