『君の名は。』 新海誠

 

※ネタバレあり

 

 

映画でも、本でも、観たり読んだりする前にレビューを必ずチェックしちゃうつまらない僕なんだけど、『君の名は。』のレビューは本当にいろんな世代の人が書いていて、それを読むだけでも楽しかった。

 

実際に映画館で観た『君の名は。』には、数多あるレビューでは全然書き表せないモノがちゃんとあって、なんというか、小説家志望の僕としては、ひどく嫉妬した。

 

「ずっと探している何か……」っていう感情がたぶんこの作品の核になっていて、それは僕たちみんなが日々抱えて生きているものだ。

それは何なのか、人なのか、場所なのか、よく分からないんだけど、ずっと胸に引っ掛かっていて、それが都会や田舎の風景とか、友達との日常とか、迫りくる彗星とか、RADWINPSの音楽とかで徐々に晴れて、澄んで、透き通っていく。

 

やっと見つけた主人公のつっかえは、「君の名前」であり、彼はそれをありったけの声で叫ぶ。とっても切なくて、温かくて、そりゃ涙が出ちゃうよ。

でも、僕たちのつっかえは、最後まで何だか分からない。主人公と一緒にスッキリしたつもりになって映画館を出たけど、一つ目の角を曲がる頃にはまた探し始めている。

 

大人になるっていうのは、そのつっかえをごまかして、見て見ないふりをしながら生きていくことなのかもしれないけど、みんな本当はその答えを知りたいというか、映画の主人公みたいに、そのつっかえに向かって全力で走りたいんだ。

君の名は。』はそんな映画でした。

 

 

あぁ、焦ります。僕はどんどん大人になっている。言葉や考えが、つまらなくなっている。

あぁ、どうしたら僕も新海さんみたいに、あんなふうに飾らず大声で叫べるのか。

映画館を出ていく一人ひとりの表情が、僕を焦らせ、駆り立てる。