32年と6カ月生きてようやくわかったこと

 

32年と6カ月生きてようやくわかったことは、

僕が天才じゃなかったということです。

 

お恥ずかしい限りですが、32年と6カ月間、僕は自分のことを天才だと思っていました。

 

スラダン読んで流川になれると思ってバスケやったし、

東大に入れると思って受験勉強したし、

ダウンタウンになれると思って漫才やったし、

村上春樹になれると思って小説書いているけど、

 

結局のところ僕は、なんてことないオーディナリーピーポーでした。

 

いわゆる大人のみなさんはもっと早い段階でそのことに気付いていらっしゃるのか、

はたまたそれを気付いた段階で大人になるのか、僕にはよくわかりませんが、僕は何度か経験してきた挫折のなかで、『自分には何もない』ということを認めた時点で、本当に何もない人間になってしまうと信じていました。

 

でもそれは間違いだとやっと気が付きました。

僕にはとことん何もなかった。

 

しかし、その事実を受け入れると、寂しい半面、とても気が楽になりました。

もう他人はもちろん、自分にも期待する必要がなくなったのです。

 

こうなったら残りの人生、自分が楽しく生きられるよう、僕の関わる社会を僕が生きやすいようにアジャストするだけでいいのです。

 

たとえば、僕は見た目はオッサン、心は乙女みたいな人間なので、薄汚い男どもがいる業界には、さよならバイバイして、女性が多い、福祉とか保育の仕事でお給料をいただけばいいのです。

そしてなるたけ定時で帰って、掃除洗濯をして、料理をして、奥さんの帰りを待てばいいのです。

そうです。僕は家事好きなのです。

 

それで、もし少しだけ欲張ってもいいお金と時間があるのなら、好きな小説を読み、気持ちの悪い小説を好き勝手に書き続ければいいのです。

 

 

僕のいちばん好きな映画、ウーピー・ゴールドバーグ主演の『天使にラブソングを』にこんなセリフが出てきます。

 

Oh, expect from yourself and you respect yourself.

You control your destiny.

 

自分に期待すると、自分を尊敬できる。

運命は変えられる。

 

本当の人生は、自分のいちばん好きを否定するところから始まるのかもしれません。