女の子になれない理由

ずっと女の子になりたいって思ってたけど、本当に女の子になれた暁には、実際に何をしたいかって考えると、例えば、アーバンリサーチの服とか、MHLの服とか着て、表参道を歩くとか、麻の部屋着で、髪の毛お団子頭にして、クウネルとか読みながら、日本酒に合うおつまみ作ったりとか、リスンのお香焚いて、ディプティックのキャンドル点けて、夜に瞑想するとか、いろいろ思い付くんだけど、どれも1人でやれることで、相手がいないのだ。

相手は男の子なのか、女の子なのか、そこんとこが、いちばん重要で、そこがはっきりしないから、僕の人生も、僕の小説も、突き抜けないのだ。

例えば相手が窪塚くんとか、長瀬くんなら、女の子になって一緒に池袋とか、江の島とか歩きたい。

相手が、池田エライザちゃんとか、井川遥さんとか、小林聡美さんとかなら、女の子になって、一緒にパンケーキ食べたり、ハイボール飲んだり、お花摘んだりしたい。

でも、窪塚くんも、長瀬くんも、エライザちゃんも、井川さんも、聡美さんも僕の日常には、ちっともいないのだ。

そう考えると、わざわざカクカクした骨とアオアオしたヒゲ隠してまで、女の子になる必要ないんじゃないのって思うから、僕の人生も、小説も、突き抜けないのだ。

いったいどうすればいいのだ。このままじゃなにひとつ面白くないことはわかっているんだけど、酒呑んで、コロコロしている間に月曜日が来てしまう。

いっそのこと妊娠できたら最高なんだけと、それだけは絶対できないから人生面白いんだな。

なれない。女の子にはどうしてもなれない。