at Blackpool
広い広い砂浜の上に立っている
カモメの鳴き声
風と波の音
自然はとても騒がしい
小さな女の子が金色の髪を揺らしながら駆けてくる
すぐそばでしゃがみ込んで貝殻を熱心に探し始める
大きな白いカモメが舞い降りてきて 女の子の邪魔をする
カモメの真似をして手を広げてみる
大きく大きく広げてみる
目をつむり 鳥になったつもりで 風に身を任せてみる
ゴォーと鳴く海も カモメが舞う空も 光り輝く砂浜も 僕の周りをぐるぐると回って 一つに重なる
でも僕はどこかに立ち止まったままでいて
まだ飛べていない
風も光も 条件は整っているはずなのに
僕の足はそこから離れない
「さて君はどうやって飛ぶ?」
カモメの声が聞こえた
「僕はこの翼で飛ぶ」
目を開くと カモメは はるか彼方へ 海へ 空へ
速度を上げて ぐんぐん飛んで行った
砂浜は僕の足の形にへこんでいる
女の子は次の遊びを見つけ すでにいなくなっている
さて君はどうやって飛ぶ?