『Shall we ダンス? 』 周防正行

 

久しぶりに『Shall we ダンス?』を観た。

僕にはイギリス人のダンサーの友達がいて、先日彼らの試合をブラックプールまで行って観てきたから、その流れで映画を観返した。

 

この映画は本当に素晴らしいと思う。

だからこそハリウッドでリメイクもされた(結末はかなりアメリカナイズされていたけど)。

 

一体何が素晴らしいかというと、役所広司草刈民代の関係性である。

彼らの関係は恋人でも夫婦でも友人でもない。

ダンスを介した先生と生徒という関係性はあるが、それ以上のものが二人にはあるように見える。

これを浮気と片付ける人は一生この映画の素晴らしさに気が付けない。

 

ひとりの人間と人間が知り合うのにきっかけなんてなんだっていい。

そのふたりがふたりにしか到達できない関係になることが最も素敵なことであって、この映画はその典型である。

 

草刈はダンスを役所に教える過程で、踊ることの楽しさを再発見した。

役所は草刈のお陰で世間体という殻を破って人生に情熱を持つことができた。

こんな読みは全然つまらなくて、おそらくふたりは男と女がお互いを好きと思う気持ちを超えた、なんだかよく分からない感情を共有したのだと思う。

 

この言葉にできない何かが僕のいちばん大切にしたいもので、それを経験したくて、表現したくて生きているだけなのだ。

 

女性専用車両が走る国で社交ダンスの映画、その後の作品は痴漢がテーマ。周防監督のセンス半端ない。あっぱれ。