決戦~前編~
穏やかじゃないタイトルで始まった今回のブログ。
そうです。
ついに念願のアイツとの戦いが始まったのです。
永い間、毎朝僕を苦しめ続けてきたアイツ。
正社員よりも一人前よりも、ただ美しくなりたい僕を散々悩ませてきたアイツ。
そうです。
ヒゲです。
ついに勇気と覚悟とお金を出してヒゲ脱毛に行ってきたんですよ!!
今度ちゃんとした仕事に就けたら初任給はヒゲ脱毛に使うんだって決めてたんです。
もう気づいたら34歳でした。でもやっと有言実行したんです。クリニックを出たとき、ヒリヒリするあごをさすりながら初めて自分で自分を褒めてあげたいと思いました。
ここ一か月、新しい仕事の業務を覚えるのはそっちのけでヒゲ脱毛クリニックの比較サイトばかり閲覧していました。
やはり気になるのは脱毛効果とお値段。いろんなクリニックがしのぎを削るなか、僕みたいなフェルメールブルーを彷彿とさせる青ヒゲ(悲しい!泣きたい!)の場合は、長期戦が見込まれるため、施術回数が多いほどお得になる『ゴリラクリニック』がよかろうと、名前はチョーいやでしたが(うさぎさんクリニックとかいちごみるくりっくとかがよかったな)、ゴリラクリニックさんにお世話になることに決めました。
初回カウンセリングの予約はメールで取りました。問い合わせ内容に対してとても丁寧な返答が帰ってきたので、ついお礼のメールを送信してしまったら、「ご丁寧に返信ありがとうございます」みたいな返事が来て、これラインとかでどっちが終わらせればいいかわからなくなって変なスタンプ送り合っちゃうやつじゃーんと思いました。ちなみに予約の段階で、カウンセリング当日に初回の施術を希望するか選べるんですが、まだいくらか不安があったのでカウンセリングのみを選びました。
決戦場は新宿のとあるビルの5階にありました。
さすが男性専門の美容クリニック。院内は黒を基調としていて、スタッフの方の制服も黒。なんだかダースベーダーとかバットマンとか、ダークヒーローに憧れている親戚のお兄さんの家に遊びにきたような雰囲気でした。
受付で名前を言うと、問診票を渡されました。口コミで受付のお姉さんがめちゃくちゃく可愛い的なコメントをたくさん見かけましたが、調子が良いときの僕とどっこいどっこいといった感じでした。
待合には平日の昼間なのにたくさんの患者さんたちがいました。大学生から会社の役員っぽい初老のおじさんまで年齢層はバラバラですが、みんな美意識高そうだぜ。
記入した問診票を受付に戻すとすぐに個室に呼ばれました。ギャルっぽい見た目のカウンセラーの方が現れて、資料とパソコンを使いながらヒゲ脱毛とはなんぞやということを丁寧に説明してくださります。
内容についてはHPに記載されていることと同じで、死ぬほど予習をしてきた僕にとっては「赤は止まれだよ」と言われている気分でした。
しかし女の人とこんなにヒゲについて語らうの初めての経験でした。カウンセラーの方はそう教育されているのか、終始僕のヒゲを見つめながら説明を続けました。「まぁ立派な青ヒゲですこと」でもなく、「はぁ薄汚いわぁ」でもなく、目の前で転んだ我が子の膝小僧にできたすり傷を見るような目で、ずっと僕のヒゲを見つめてくるのです。これがヒゲ脱毛カウンセリングの現場ではなく、初デートのカフェテラスだったら迷わずお茶を中断して、彼女にフォーナインズのサングラスを買い与えるでしょう。
あらかた説明が終わると彼女は席を外し、次に医師の方がこられて今度は脱毛のリスクについて説明があります。その時こられたのは僕と同じ歳くらいの男性の方でした。黒い服をお召しになられていたので全然医師感がない。そしてよくある壁に掲げられた医師免許がないので、全然医師感がない。まぁでも医師なんでしょう。
その後はまたカウンセラーの方とバトンタッチして料金の説明。どうします?やりますか?といったカウンセリングではなく、やるていで進めてくるカウンセリングでしたし、いろいろオプション(事前のピーリングとか術後のスキンケアとか)をゴリラ押しされましたが、嫌な先輩や友達からの誘いを断れるくらいNOが言える人なら全然断れるレベルのゴリラ押しだったと思います。
僕は元々契約することを決めてきていたので、後は初回の施術がいつになるかが気になっていました。予約が取りづらいという口コミは多数見かけていました。
「今日は料金を支払って、次回の予約を取る感じですか?」と伺うと、
「実はちょうどこの後の枠にキャンセルが出てすぐにでも初回の施術が受けられそうなんですがいかがですか? お支払いは施術後で結構ですので」とのこと。
やったー!なんて僕は運がいいんだー。やっぱり日頃の行いがものをいうなー。
でもなんか胡散臭いなー。痛みが強すぎて続けられなかったらどうしようかなぁとか悩んでたけど、やっちゃったらもうキャンセルできないじゃーん、でもやらないと痛み分らないじゃーん。
「ヒゲ剃ってきたばかりなんですけど大丈夫ですか?」
「赤くなっていないんで全然大丈夫ですよ。私も結構肌荒れひどい方で、ほらここなんか荒れてるんですけど、ガンガンレーザー当ててますし」と言いながら彼女は長い髪を掻き分けて少し肌荒れした白いうなじを見せつけてきたので、キィーとなった僕は施術を受けることにしたのでした。
次回、『決戦~後編~』、綺麗なバラには棘があるのさ、に続きます。