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人生30過ぎてからでしょう。

好きな本、映画、日々考えていること、気の向くままに書きます。

『五百羅漢図展』 村上隆

日々のこと

土曜日と日曜日、久しぶりにトキョーに行ってきました。

オリンピック招致のとき、白人のおじさんが大層勿体ぶりながら選んだ、あの「トキョー」です。

とはいっても、仕事の研修だったので、トキョーというかほとんどサイタマにある、とある大学に2日間缶詰にされて、やっと解放されたときには、日曜日の午後5時でした。

大学の周りはほとんど木だったし、宿泊したホテルの周りもほとんど西友だったし、ホテルの部屋なんてフロントから一歩プラス本気ジャンプくらいでたどり着く所にドアがあって、そのドアたるやトコロテンと見紛うほど貧相で、一晩中、中国人観光客と受付スタッフの爆笑トーキングが聞こえてくるから、ハイボール2缶とワンカップOZEKIのプレミアム(東京にはOZEKIのプレミアムがあった!さすがトキョー!)を飲んで寝てやったら、2日目の研修内容はほとんど頭に入ってきませんでした。

トキョーに行くからって、うちのショルダー・イン・クローゼットからいちばん可愛い服を見繕って、でもあんまりやる気MAX感が出てるとダッセーから靴はカジュアルなやつ選んだりしたのに、なんだトキョーなんて全然楽しくないじゃん!とか急に空しくなったので、まだ研修終わって5時だったから、渋谷じゃなくて、村上隆さんの『五百羅漢図展』がやっている六本木に向かったのでした。

地下鉄乗ったらまず人が近いのなんのって、ウチの左尻が左隣のボブマーリーみたいなやつの右尻に、ウチの右尻が、右隣のとってもカラフルなスパッツはいてサメみたいな女の左尻に触れてるってなもんで、この距離感であたいを保つの難しいわとか考えながら電車降りて、『グーニーズ』かい!っていうくらいエスカレーター登ってやっと地上に出たらビルが高いのなんのって、人が多いのなんのって、スゲーなおいトキョー、外国人ばっかりだし、こりゃもうあたいの知ってるニッポンじゃありゃしまへん、なんか街中がざわざわ動いてて、行先が決まってない人が大勢いて、あたいのおべべのことなんて誰も気にしてませんやんとか考えてたら、六本木ヒルズに着いて、ヒルズがデカいのなんのって、そんで展示やってる森美術館てぇやつはエレベーターに乗って行くらしくて、50階くらいびゅーんと上がったら宇宙船に乗り込むみたいな入り口になってて、こりゃおったまげトキョー!ってな感じで、村上隆さんの『五百羅漢図展』に入場したので、作品を見る前にお腹いっぱいアイムフルでした。

トキョーに住んでるシティーボーイたちならもっと展示を楽しめたんだろうけど、田舎者の僕にはトキョーのダイナミズムで心がざわついて、作品を落ち着いて楽しめませんでした。その作品とのエンカウンターはたった一度きりなのに、その時の状況とか心境に本当に左右されるなぁとつくづく思うのでした。

 

※ここからネタバレあり

 

作品の最後に村上さんからのメッセージがあって(それも作品になってたんだけど)、要約すると若いクリエーター、もっと死ぬ気でやれよベイビー的な感じのメッセージで、それを見てたら、むかーし学生時代に出会って、ちょっとだけ好きになった絵描きの女の子のことを思い出しました。

その子と一度だけ美術館に行ったんだけど、ゆっくり作品を見る僕とは違って、彼女は可愛くとがったあごに手を当てながらサラサラっと見て回るだけで、ホントにあっという間に見終ってしまって、なんも美術のこと知らんくせに長いことアホみたいな顔して見て回る僕を、出口のソファーでずっと待っていてくれたのでした。

それから数年して、突然彼女から「外国でクループ展することになったからこの文章英訳して」って連絡がきて、英訳したら、「DM出来たら送るね」って返事がきて、それきりDMこなくて、こうやってまた展示を見終ると、外で彼女が待っててくれてるんじゃないかなとかほのかに想うのでした。