Now, I am in Tokyo.

 

ハイパーメディアクリエイターだった妻の進学で、コンクリート・ジャングルTOKYOに引っ越してきて、もうすぐ一か月になります。

 

大人の事情で都心からずいぶん離れたアパートに越したので、全然コンジャン(コンクリート・ジャングル)感がありません。でも念願のスイカを手に入れて、塩ふって食べたわけじゃなくて、改札にピッとして、通過できたときには妻とハイタッチしそうになりました。改札の次は妻にピッ。

 

引っ越して間もなく、妻は学校が始まり大忙しの日々ですが、僕の方は就職活動以外することがないので、家のまわりを走りまくってたら、三日目で、マダムに道を聞かれて、丁寧にお答えすることができるようになりました。

 

妻は帰宅すると、毎晩その日の出来事を目をキラッキラさせながら報告してきやがります。それをほうほうと聞いているだけでは、さすがに忍びないので、僕だって日中に何かして、新しい話題や情報を妻に提供しなければならないのですが、先日は、「この部屋の天井、意外と高くて、椅子の上に立っても全然頭当たらないんだぜ」って言ってやると、「そっ、そうなんや……」と妻は視線をそらしたので、「なんならやって見せようか?」と得意気に言うと、「いっ、いいわ……そうや、今日もたくさん宿題あるんやった」と部屋を出て行ってしまいました。

世の中の奥さん。「ねぇねぇ、そっちはどんな一日やった?」って、失業中の旦那に聞くのは、「詰めるなら小指か薬指どっちがええねん?」って聞くようなもんですよ。絶対にやめましょうね。

 

このまま仕事が決まらなければ、僕はやっとタフな小説を書けるようになるか、東京2020にランナーとして仕上がってしまうか、はたまた自室の掃除だけでは飽き足らず、共用部分まで掃除し始めて、管理会社に就職してしまうかのどれかだと思うんですが、そんなゆったりと構えていられる根性や度胸やお金も無いので、すぐに安定した仕事に就くことでしょう。

 

しかし東京という街は、すんごい街ですね。

たとえば新宿に行くと、人がめちゃくちゃいて、こんなに人がいるのに、みんな違う顔しているっていう事実がほんとうにすごい。

満員電車でぎゅうぎゅうになってると、まわりの人と自分の境目がわからなくなってやばい。

みんな違うのにみんな同じという感じが、東京ではバリバリ伝わってくるのです。

 

はたして僕はこの街を好きになれるのでしょうか。

そのためには、まず仕事をして、ちょっとした恋をして、魔法を無くして空を飛べなくならないといけないのかもしれません。

 

その街に溶け込むというのは、そう簡単にはいきません。

歳を重ねればなおさらです。

 

それでも、僕は明日が愛おしくて仕方がないのです。