そうだ、保育士になろう

 

保育士を目指すことにしました。

 

 

そう決心するにいたるまでのお話。

 

このブログで何度も申しておりますが、僕はサッカー選手よりも社長よりもなによりも女の子になりたかったのです。

齢30を過ぎて初めて東京で暮らすことになり、そこに生息する様子がおかしい人たちを目の当たりにし、「あぁやっぱり自分の好きに生きていけばよかったんやん」って背中押された気がして、妻に「実は女の子になりたかったんだよ」ってカムアウトしたら、「あっそれ中二病だよ」って言われたけれど、それでもAmazonプライムで『グータンヌーボ2』とか『東京女子図鑑』とか観ている時が一番幸せな自分がそこにいることは紛れもない真実なのだから、ずっとくすぶり続けていた「女の子になりたい」がここ東京の地でバーストしたんです。

とくにここ最近は、ビジュアルが女の子に見えるように髪を伸ばしたり、服もなるたけ中性的なものを好んで着用してまいりました。

そして分からないことは人に聞くということをようやく思い出して、リーやヴェリィやミーナ(最近はデザイナーが変わったのかめちゃくちゃ可愛い誌面になったよね)を立ち読みするだけの自分は止めて、女ともだちにメイク指南を依頼しました。

その際「私メイク苦手なんよー」と言いながらその女ともだちが連れてきたのが、なんと自称杉並区一位のメイク女子だったのです。

メイク講習会はその方のご自宅で行われました。

杉並区一位は毎日のスキンケアはもちろん欠かさないし、エステ等にも定期的通われていて、お肌はつるすべ。ベースメイクの大切さを永延と語り、洗顔時はまさにシルクのような泡玉をたちまちお作りになられました。講習後、杉並区一位のクローゼットの中を拝見させて頂く機会に恵まれましたが、杉並区一位は殿方の趣向やTPOに合わせて変幻自在にコーデを変えられる多彩な服を揃えておられました。「あれやったら好きなの着ていいよ」この言葉で僕の理性は崩壊し、姿見の前のランウェイで杉並区一位と僕二人きりの『杉コレ』が開催されました。女ともだちは終始寝転がって『ちびまるこちゃん』を読んでいました。

 

その日は僕にとって夢ような一日であり、それと同時に絶望の始まりでした。

女性が「女」たるのがどれだけ難しいことか、杉並区一位に実感させられてしまったのです。

彼女の努力を見て、合コンとか婚活パーティーで「何で俺らの方が多めに払わなあかんのや」とかぶつぶつ文句を言っている男どもをどつきまわしてやりたくなりました。

お前らなんか、石鹸で顔洗って、せいぜい600円くらいのギャツビーつけてカッコつけとるだけやろがドアホ。お前らの目の前でキラキラスベスベしっとりしてくれてはる女子は毎月キレイになるためになんぼほど金かけとるのかわかっとんのかドアホ。お前らなんか差額分、冷え切ったから揚げでも食べて満足しとけ知らんけど。

こんな想いが彼女から伝わってきて、あぁ軽々しく女の子になりたいとか言われへんなと思いました。

そして極めつけは、杉並区一位が毎日大切に大切に労り守り続けているお肌に、僕はあろうことか毎朝刃をあてがいスライドしているという事実。

あぁもうこれじゃ女の子にはなられへんな。

 

しかし、その時僕は、女の子になったあかつきには、いったい何がやりたかったのかしらんとも考えたのです。

ドラマの水川あさみ様みたいにヒラヒラした服を着て六本木やらをカツカツ歩き周りたいだけなのか。田中みな実様みたいに革のソファーにちょこんと座って「はぁ、恋するとすぐ痩せちゃう」とか言いたいだけなのか。

僕のなりたい女性像をゆっく時間をかけてイメージしたら、小さい子どもあやしている、別にあやしてなくても「そんなん買うか!」ってしばき倒していてもいいんですが、子どもと一緒にいる女性の姿だったのです。もっと言うと、子どもとお母さんが二人で表出している何とも形容しがたい、やわらかくてあたたかいオーラを僕も身につけて生きていきたいという感覚だったのです。

僕は女の子じゃなくてお母さんになりたかったのかしら。

お母さんは女の子により、よりなられへん。

じゃあなるたけ近づくとすれば保育士さんやん。

 うんそれになりたいと僕は思ったのです。

 

これまでいろいろ仕事をやってきたけど、ややこしいことばっかり。

でも保育はとにかく目の前の子どもに「あんたが生まれてきてみんな幸せやで」って伝えるだけでいいんかなって、それって一番シンプルで素敵な仕事やんかとか思うんですよね。

 

とりあえず保育士になって初任給貰ったらそれでヒゲ脱毛しようと思います。結局それかい。