『告白』 町田康
いやはや驚きました。
町田康さんの『告白』
全840ページ。レンガみたいな文庫本。
どこかに素敵な純文学作家はおらんけ…
と軽い気持ちでネット検索していたら、
生涯最高!…とか、
ドストエフスキーを越えた…とか、
そんな嘘くさいレビューと一緒に見つかったこの作品。
「あほこけ、こちとらどんだけの時間と金使って、いままでなんぼほど本読んできたとおもてんねん」
と疑いながらダンベルみたいな本を手に取り、筋トレごとく読み進めること数週間。
(※主人公の熊太郎に触発されて関西弁になっています)
「あれ?」
「おもろいんやんけ…」
「こりゃ…ほんまもんやわ」
大学生で『海辺のカフカ』を読み終えたとき、
「あーたぶんこれからこの小説よりおもんない人生送るんやろな」って思いました。
30歳で『告白』を読み終えて、
「死ぬまでに見つけようと思ってたこと、すでに書かれてしもてるやん」って思いました。
どこにでもいる普通の男、熊太郎が、どうして人を殺さないといけなかったのか。
誰よりも言葉を大切にした熊太郎の、最後の言葉は。
この時期に少年Aの『絶歌』じゃなくて、町田康の『告白』を読んだことに、何か運命的なものを感じました。