こどものしごと

 

児童養護施設で働いています。

児童養護施設とはいろんな事情で家族と暮らせなくなった子どもたちが生活している施設です。

僕はその中でもグループホームという一般的な一軒家で6人の子どもたちが生活している施設……というとなんか変な感じなんですが、その家に配属されています。

業務内容は本当に子どもたちと一緒に『生活』をすることで、料理、洗濯、掃除、宿題の見守り、幼稚園、学校への送り出し、遊び、外出、旅行とか全部やります。

仕事が終わって自分の家に帰ってきてもやることは大体同じなので、なんで仕事のときには給料がもらえているのかときどきわからなくなります笑

この仕事にはノルマというものはありません。

例えば子どもが志望校に入ることができたとか、片想いの相手に告白して付き合うことができたとか、バイトでお金を貯めて友達とUSJに行けたとか、それは子どもが出した結果であって職員が出した結果ではありません。

もちろんそれぞれの子どもに『自立支援計画』とか職員それぞれの想いはありますが、それと子どもの頭や心は別ものなのです。

じゃあなんでもありの仕事なのかといったらそれは間違いで、職員にとってひとつだけ絶対的な責務があります。

それは子どもたちの安心安全な暮らしを守ることです。

この責務が簡単なように見えていちばん難しいです。

 

さてさてお堅い話はこのくらいにして、このブログでは、子どもたちと日々生活をするなかで、いい意味でも悪い意味でも職員と子どもという親子よりも少し客観的な関係性だから見えてくる、子どもたちの本当に素敵なところを紹介していきます。

 

まず一つ目。

快晴で風が心地良いとある午後、近所のサイクリングロードのベンチで小4の男の子とゆったりアイスを食べていると、目の前を走り去っていくランナーの姿を見て男の子が一言、「またマラソン選手だ。頑張れー!」。僕は思わず吹き出してしまって、「あの人たちは選手じゃないよ。趣味で走ってる人たちだよ」と言いました。「へーそうなんだ。趣味ってなに?」「趣味は好きなことだよ。僕もよくここらへん走ってるよ」……みたいな会話。

これあとで振り返ってみたら、この子にしてみれば、サイクリングロード走ってるランナーも、こないだの東京マラソン日本新出した大迫選手も、同じマラソン選手なんだろうなって思いました。有名だとか、プロだとか、仕事だとか、趣味だとか、そんなのは大人が作ったもので、子どもにとってはただ走ってる人なんだなぁと。

 

もう一つ。

コロナ渦でなかなか外出ができない子どもたち。久しぶりにマックが食べたいというので、テイクアウトをすることにしました。スマホでメニューを見せながら6人分の注文をメモしていると、小2の女の子はハッピーセットを希望。6種類の中から付いてくるおもちゃは選べないようで、「あーこの笛のやつがいいなー。笛のやつが出たらいいなー」と何度も何度も言っていました。

30分後、買ってきたマックの袋を食卓に置くと、みんなハイエナのように群がりました笑。女の子はすぐさまハッピーセットのおもちゃを掴み、中身が見えないようになっている袋の上からおもちゃを触りながら、「えっ? うそ? 夢が、夢がかなうかもしれない!」と大騒ぎ。テンションが上がりすぎて、袋がうまく破れず、僕が手伝って開けると中身なんと笛!「かなったーーー!!! ほら私が欲しいって言ってやつ!ね!」と言いながら、ピーピー笛吹きながら、家じゅう二階まで走り回って喜んでいました。

夢って小さくたっていいんだなって女の子を追いかけながら思いました。あとマック最高かよ。

 

こんな感じでこれからも僕のこどものしごとの話、お伝えしていこうと思います。